飲食店開業を開業を考えはじめた時にいちばん気になるのが資金面。飲食店開業にかかる資金は個人店でも一般的に1,000万だと言われています。わたしが20席の個人店を開業した時も、たしかにそのくらいかかりました...。
今日は、実際に開業経験のあるわたしが当時のリアルな費用感をお伝えします。これから公開する金額は、小箱の個人店を作った時のものです。※具体的な資金調達はまた別の記事にて。
ざっくりした前提条件は以下。
- 渋谷区
- 駅徒歩:5~10分
- 居抜き
- 業態:バー
- 席数:20席
もくじ
飲食店開業資金:初期費用の内訳
開業した方のインタビューなどで「一生懸命アルバイトしてお金を貯めて...」というものがあるのですが、全資金を自己資金でまかなうのはなかなかハードモードです。
まずは、自己資金を開業資金のベースとして考えているのであれば、運転資金まで込み込みで一度考えてみてください。
【飲食店開業に必要な初期費用内訳】
①物件取得費用
②内装施工費用
③保険料等
④仕入れ費用
⑤販促費用
これらが開業前に支払わなければならない主な5つの初期費用です。
開業資金としてぱっと思いつくのが「物件取得費用」と「内装施工費用」の2つだと思います。この2つが金額の大きさ的に爆弾なのはまちがいないのですが、そのほかの費用も同じタイミングでどさっと発生します。もし、開業資金をぎりぎりで考えているなら、再確認しましょう。
ここから紹介していく費用は、前提条件にて実際にかかった費用です。
物件取得費用:500万円〜
物件取得費用は約500万円程度かかりました。
【渋谷区15坪/家賃約27万円(居抜き)】
保証金:270万/10ヶ月分
礼金:54万円/2ヶ月分
仲介手数料:27万円/1ヶ月分
造作代:100万円
前家賃:27万円/1ヶ月分
------------------------------
計478万円
物件取得だけでざっくりと約500万円弱。
都心の立地条件がよい物件では、小さな店舗でも保証金「10ヶ月」はざら(ツラい...)。造作代は居抜きの場合に、内装をそのまま買い取る場合に発生する費用です。これは前のお店のオーナーさんが希望している額になりまして、立地がよいとかなり強気な金額を提示してきます。が、この中でいちばん交渉しやすい費用でもあります。
内装施工費用:約400万円〜
【内装工事内訳費用(居抜き)】
箱の解体・修理等:200万円
什器(冷蔵庫などの設備)の入れ替え:100万円
インテリアや看板の入れ替え:50万
その他壊れているものの修理費用:50万円
----------
計400万円
什器やインテリア込みで、営業できる状態まで作った費用が約400万円です。
内装はどのくらいかけるかいちばん振り幅が大きい費用ですが、個人店での目安は200~500万円です。わたしの周りでは、DIY込みだと200~300万円で作った方が多く、こだわって作り込むなら300万~400万円、500万かけれるならブランドやヴィンテージ品のインテリア雑貨込みで貴族の部屋を作ることも可能です。
小箱の居抜きなら、内装施工屋さんに頼む部分は300万円あればほとんどのことはやってもらえるはずです。そこに必要に応じて什器の入れ替え費用、イスやテーブル・収納棚といったインテリア費用がかかります。
普通はこだわりが出て結婚式状態になりますので、本当に必要な部分以外は後から手をかけていくつもりで作るのが良いです。
あとは看板類も全て入れ替えますが、こちらの費用も見落としがち。外看板がある場合は物件取得費用として計上される場合もあります。
保険料など付随費用の目安:10万円〜
物件取得や内装施工と合わせてかかる費用に、物件の火災保険料や許可申請費用などがあり、目安は約10万円〜です。
火災・地震保険料:4万
鍵の交換代:3万
許可申請代:3万
保険料は保証内容で大幅に差があるのであくまで安く見積もったものですが、飲食店の火災保険加入は必須、割れモノが多いので地震保険も入るべきですし、食中毒のカバーなんかも気になればキリがありません。
さらに防火管理責任者&食品衛星管理者の資格の取得が必須です。取得は簡単ですが、それぞれ1万円程の費用がかかります。ちなみにこの資格は内装工事がはじまる前までに必要ですので、お忘れなく。その他ちまちました申請費用等も発生します。やること多いですね...。これを行政書士さんに頼むと上記費用と別に10万円程度〜受けてもらえるはずです。
物件取得&内装施工だけで約800万超
こんな感じで物件取得&内装施工だけでばんばんお金が飛んでいきます。15坪の小箱個人店設定で800万円超なので、規模が大きくなったり内装にこだわったりすれば、この時点で1,000万オーバー余裕です。
ちょっと長くなったので、仕入れ費用と販促費用は別の記事に分けますね。次に紹介するこちらの2つの費用も必ずかかる初期コストなので、必ずご確認を。では。
飲食店開業資金:初期費用の内訳
【飲食店開業に必要な初期費用内訳】
・物件取得費用
・内装施工費用
・保険料等
・仕入れ費用←今ここ
・販促費用
物件取得費用&内装施工費用はこちらへ。
今日は仕入れ費用と販促費用についてお伝えします。
仕入れ費用:100万円〜
【実際にかかった仕入れ費用(業態:バー)】
お酒代:40万
食品代:20万
グラス・食器代:30万円
家電代:0万円
その他:10万円
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計100万円
ひと通りバーにあるお酒全て揃えたので、お酒ボトルを一式&予備を揃えるのにこのくらいがかかりました。お酒代はメニュー戦略次第。焼酎割一本勝負ならぐっと下がりますし、高級シャンパンやワイン、珍しいウイスキーなどをがんがん入れれば高くなります。
食品代はまずはおつまみ程度からはじめましたが、今後提供するためのメニュー開発用材料費などなんやかんやかかり、バーとはいえスナック程度の出費というわけにはいきませんでした。仕入れ先によって品質も違うので、最初は想定以上にコストがかさむと思っておいた方が安全です。
さらにコスト負担が大きいのが、グラス類・食器類。こだわりがなければメーカーからの協賛で無料グラスをもらうこともできますが、お洒落グラスなら1つ1,000円以上するものもあります。その他、ワインクーラーやオープナー、ブレンダー、マドラーなど、見落としがちなアイテムもわんさか出てきます。
ラッキーだったのは家電系。全て居抜きのまま利用できたのでほぼコスト0円で済みました。
販促費用:約30万円
初日から集客するために必要になるものが販促費用です。
【実際にかかった販促費用(業態:バー)】
お店のホームページ:3万円
オリジナルロゴ:5万円
名刺、チラシ、フライヤー:3万円
メニュー:3万円
近隣店舗への挨拶:10万円
その他:6万円
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計30万円
わたしの場合は販促物関係はいったん全て自分自身で制作したので、かなりコストが抑えられました。プロの制作会社へ頼むと3~5倍くらいするのではないかと思います。今の時代だれでも自力でHPや名刺を作れますので、まずはここからスタートを推奨します。
また、近隣店舗へのあいさつも大切な営業費用です。事前にご近所さんと仲良くしておくことで送客してくれたり、ショップカードを置かせてもらったり、またトラブルがあった時にも心強いです。あいさつ周りはしなくても開業できますが、時間があるなら必ずお邪魔させていただきましょう。
個人店開業にかかった費用:合計約940万円
【渋谷区徒歩5分15坪/バー個人店の場合】
物件取得→500万円
内装施工費→300万円
保険料→10万円
仕入れ費用→100万円
販促費→30万円
わたしが小さな個人バーを開業するにあたり、かかった開業初期コストは合計940万円となりました。削れるところは削りましたが、やはり飲食店の開業には1,000万円かかると想定しておいた方が良さそうです。
わたしの場合、立地と空間づくりを一番最優先として店舗づくりをしましたので、物件取得費用と内装費用がいちばん大きな開業コスト(予算の8割)となりました。
開業コストを抑えるために必要なこと
さて、ここまではただの公開日記です。わたしも開業した時はずぶずぶの素人でしたので、かかった費用も素人感まるだしの金額かもしれません。
ここから今だから言える、開業時に気をつけてほしいことをお伝えしますね。
- 開業前にコンセプトをしっかり決める
- 開業前に売りたいものやメニューをしっかり決める
- お金をかける部分とかけない部分の取捨選択をする
あたりまえのようですが、開業前にどういうお店にして、何を売りにするのか、しっかりストーリーを組み立てることが一番大切です。そうでないと全部必要な気がしてきて、コストもどんどん膨れあがってくるからです。
絶対に外せない部分はケチらずにお金をかけるべき。ですが、開業前はイメージばかりが先行してあれもこれもとなりがちなので、予算オーバーするところは頭を使って工夫する、もしくは「潔く捨ててしまう勇気」も大切です。
そうやって工夫してでてきたものがお店のカラーとなりオリジナル商品となっていくものだと感じたのが、実際に飲食店運営をしてきた中での感想です。
ということで、「飲食店の開業資金について」は2回シリーズで終了。参考になりましたでしょうか。ほんの少しでも安心材料にしていただければうれしいです。素敵なお店を作ってくださいね。
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はじめての飲食店開業7ステップ
出店経験者が教える初心者向け飲食店開業講座。 7つのステップを段階毎に丁寧解説。リアルな経験談を交えつつ、はじめての開業でも失敗しないノウハウをぎゅっと詰め込みました。気になるところからぜひどうぞ。
- Step1:飲食店の今ドキの出店方法を知る
- Step2:飲食店の開業の流れと全体感を知る
- Step3:飲食店向け事業計画書の作り方
- Step4:飲食店の資金調達方法3種類
- Step5:飲食物件の探し方と内装工事
- Step6:開業準備チェックリスト
- Step7:集客導線を作る
番外編:開業に役立つおすすめ書籍
番外編:開業に必要な資格許可リスト
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